樟子松6,480株、クルミ4,455株が順調に成長
-2019年植林―(2019年8月)
中国東陽山緑化事業は、当基金と陝西省楡林市横山県との間で交わされた「造林に関する覚書」に基づき、2013年から2020年までの8年間、陝西省東陽山において25ヘクタール、1万400株の植林を行うこととして取り組まれてきました。 陝西省は中国のほぼ中央に位置し、省都は西安(かつて中国の政治、経済、文化の中心地であった長安の都)です。植林現場のある楡林市は、陝西省の最北部に位置し、西安から飛行機で約1時間かかる遠隔地です。気候条件は厳しく、夏の最高気温33度、冬の最低気温マイナス20度、年間降雨量約550㎖の半砂漠地です。
2017年までの5年間の取組
2013年から2017年までの5年間に、補植を含めて6,480株の樟子松が、16ヘクタールの地に植林されました。植林現場のある楡林市は、名前のとおり、もともとは楡(にれ)の林のある風光明媚な地だったのでしょうが、近年砂漠化が進み、中国の「防砂治沙」の重点都市に指定されていました。
砂漠化が進む厳しい環境条件での植林でしたが、2019年6月時点で、苗木の高さは最高2.7m、最低でも1.5mに達し、活着率も87.9%と良好な数字を示しています。
防護林として順調に成長している本件植林地には、防風防砂、水と土の保持、空気の浄化、環境美化等の多くの効果が期待されており、当地の生態防護システムとして欠かすことのできないものになりつつあります。
2018年、2019年の2年間の取組
緑化事業の開始から6年目となる2018年5月、それまでの植林地から約3キロ離れた地に、新たに9ヘクタールのクルミの植林を実施し、覚書に記された25ヘクタールの植林プロジェクトが完成しました。
2019年6月には286本が補植され、クルミの植林本数は併せて4,455株となっています。
2019年6月時点での苗木の活着率は92.3%と良好です。成長状態も良く、まだごく少数の木ですが、2019年に実を結びました。
2020年にはほとんどの苗木が実を結ぶ見込みです。
クルミは耐寒性、耐旱魃性に優れた特長を有しており、土地が痩せて日当たりが強く、旱魃地である黄土高原でも、谷間にしっかり根付いています。現地では本件植林事業による高い経済効果が期待されています。
今後の本件植林事業への対応
中国東陽山緑化事業は、事業開始から本年までの7年間で、25ヘクタールの地に、覚書を上回る10,933株(楠子松6,480株、クルミ4,455株)の苗木を植え付けることが出来ました。
残り1年間は新たな植樹はせず、今まで植樹してきた林の補植やメンテナンス管理をしっかりと行い、25ヘクタールの植林を完成させていく予定です。
日中が協力して造成した林が、今後長きにわたって、安定した防風防砂効果と経済効果(利益)を両立できることを強く願っています
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陝西省は中国大陸の中央部に位置している。楡林市はこの陝西省最北部の行政区。
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クルミの苗木4,455本を植林。覚書に基づく25ヘクタールの植林が完成 ― 2018年植林 - (2018年5月)
中国映西省楡林市横山県林業局から、東陽山の緑化事業に関する2018年の植林について報告がありました。
本件事業の6年目にあたる2018年の植林は、次のとおりです。
本件事業の開始から6年目となる2018年5月、これまでの植林地から約3キロ離れた新たな9ヘクタールの地に植林を実施し、覚書に記された25ヘクタールの植林プロジェクトが完成しました。
樹種は、クルミ4,455株です。
今回選定されたクルミは、楡林市が近年大いに注力し推し進めている経済樹木です。クルミは耐寒性、耐旱魃性に優れた特長を有しており、土地が痩せて日当たりが強く、旱魃地である黄土高原においても、谷間にしっかり根付いています。横山県(現在は楡林市横山区)には、元々一定量のクルミの分布がみられ、その生産量や品質とも優れたものがあることから、今般の植林による高い経済効果が期待されています。
なお、今回のクルミはすべて幅広な棚田(段々畑)へ植樹されたため機械化作業を容易にし、人力を省くことが可能となりました。
横山区の2017年の年間降雨量614ミリメートルで、本年も昨年同様レベルの降雨量を予想しています。クルミは一旦成長し始めると、通常は自然降雨以外に、別途の水やり等は不用となります。2018年5月に植樹した土地の選定に当たっては、正にクルミの特性に合わせたものとなっています。
クルミは一般的には植樹後3年目から収穫期に入ります。以降徐々に収穫量は増えていき、植樹後5年目には1ヘクタール当たり果実収穫量が2千キログラム(2t)以上、生産価格1万元以上(円貨16万円相当)に、また、最盛期の8〜10年目には1ヘクタール当たり果実収穫量が10t以上、生産価格5万元以上(円貨80万円相当)となる見込みです。
2020年には最初の収穫期を迎え、2028年以降には収穫の最盛期に入る予定です。
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2018年のクルミの植林地風景
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植えられたクルミの苗木
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クルミの植林風景
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段々畑に規則正しく植林を実施
樟子松の苗木276本を補植。8年計画は順調に進展
-2017年植林-(2017年4月)
中国陜西省楡林市横山県林業局から東陽山の緑化事業に関する2017年の植林について報告がありました。
本件事業の5年目にあたる今年の植林は、次のとおりです。
- 1 昨年以降は天候が良く、特に2017年春は降水量も比較的多かったので、苗木の生育は順調です。
- 2 日中協力の植林面積は、目標面積25ヘクタールに対して2016年夏(計画4年目)までに16ヘクタールに達し、2016年8月分だけで2年分の目標を達成するなど、これまで順調に進展しています。2017年の今春には、植林面積を広げず補植のみ行なうこととし、2017年4月に276本の補植を実施しました。
- 3 補植費用は、苗木の購入3,312元、水遣り等の人件費2,125元の合計5,437元となっています。(1元約16.5円と換算して約9万円)
樟子松の苗木3,182株を植林
-2016年植林- (2016年8月)
中国陜西省楡林市横山県林業局から東陽山の緑化事業に関する2016年の植林について報告がありました。
本件事業の4年目にあたる今年は春の植林時期である4〜5月頃の雨量が乏しく、植林しても生育が見込みにくい等の判断から、8月12日から22日にかけて植林が実施されました。
今年の雨季には土壌の湿度も良く苗木の供給も十分であったため、2016年と2017年の2年分の植林目標がこの1年間で達成でき、それと同時に、2013年から2015年の植林地に対する補植も行われました。
今年植えた苗木は、苗床で6年間育てた高さ120〜150cmの樟子松(自然環境が厳しいためある程度の大きさまで苗床で生育させる必要があります。)で、植林本数は、新たな植林地用2,592株、補植用590株、合計3,182株です。
今年の植林活動に要した経費は、土地の整地に2万736元、苗木の購入費4万4,548元、苗木の運搬と梱包費9万546元、植林の人件費2万3,850元、水の運搬と水遣り1万9,092元(3回に分けて実施)、その他経費3,182元の合計12万954元(約200万円)となっています。
当基金は、今年の植林に要する経費として、本年5月に100万円(当時の換算レートで6万4,410元)を支援し、残りは来年以降に手当てしていく予定です。
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植林前の風景
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苗木。苗床で6年間育てた樟子松
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植林後の風景
春に3.2haに樟子松の苗木1,350株を植樹、
秋に670株の苗木を補充植樹(2015年10月)
中国陝西省楡林市横山県林業局から東陽山の緑化事業に関する2015年の植樹について2回にわたり報告がありました。
当基金と楡林市横山県との間の覚書に基づき、25ha、1万400本を2013年から2020年の8年間に分けて、毎年約3.2haを完成することになっています。
植樹にあたっては、植樹の施工は入札と請負方法を採用し、苗木の購入、整地、灌水、3年間の管理保護は落札した緑化業者が請負、横山県林業局は請負契約を締結し、責任をもってプロジェクトの管理、監督、検査及び検収並びに資金の払い出しを行うこととしています。また、植樹に当たっては現地の灌木、河北ポプラ・早柳等の落葉高木を保全しながら樟子松や油松を植えるほか、農民が85%を占めていることから、できるだけ現地労働者を雇うことにしています。
3年目となる2015年は春と秋の2回行われました。春の植樹は4月行われました。植樹地は一昨年、昨年植林した場所に隣接する東側で3.2haに高さ100~120cmの樟子松の苗木1,350株を植樹しました。また2か月後の活着(根付いた)率は90%と良好のことでした。秋の植樹(8月)は植林全体の活着率を確保するため、3年間の植樹に対して、全面的に苗木の補充を行い、高さ100~120cmの樟子松の苗木670株を植樹しました。今年の植樹活動に要した経費は、苗木の購入費3万6,360元(2,020株×18元)のほか、土地の整備(穴掘り)、苗木の運送費、植樹の人件費、水の運搬と水遣り等で7万7,710元となっています。なお当基金は、春と秋の植樹に要した経費の一部として100万円を支援しています。
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樟子松の苗木240株を補植 -2014年秋季植林-
(2014年9月)
春季植林の抜き取り検査をした結果、植林した苗木の生存率は85%となり、8月に高さ100~120㎝の樟子松240株の補植を行いました。
秋季の植林活動に要した経費は、土地の整備と道路の修繕、苗木の購入費、苗木の運送費、注水することにかけた費用、その他の経費の合計1万1,050元(約19万円)となっています。
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樟子松の苗木1300株を植林 -2014年春季植林-
(2014年6月)
中国陝西省楡林市横山県東陽山緑化事業の春の植林活動は4月、200人のボランティアを集めて行われました。植林は、昨年の植林地と連なるところで、面積は約3.2haです。植えた苗木は、高さ100~120㎝の樟子松1300株です。 植林に当たっては、①縦1.5m、幅1.5m、深さ0.3mの大坑整地を行い、その中に長さ0.5m、幅0.5m、深さ0.5mの植林穴を作る、②植樹密度は1本につき4m×6mとし、1ha405本とする、③一定量の土壌を付けた苗を植える、④水遣りは植樹したその年の天気状況を見て1~2回行う、⑤補植をその年の夏に行うことにしています。 春季の植林活動に要した経費は、土地の整備と道路の修繕、苗木の購入費、苗木の運送費、注水することにかけた費用、その他の経費の合計7万6,150元(約131万円)となっています。
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3.2haに樟子松の苗木1,296株を植樹(2014年3月)
中国陝西省楡林市横山県林業局から東陽山の緑化事業に関する2013年の植樹について報告がありました。
同報告では、植樹に先たち施工業者を入札により決めた後、施工する緑化業者が昨年8月6日から10日までの5日間にわたり、東陽山麓の3.2haに高さ100cmの樟子松の苗木1,296株を植樹しました。
植樹された樟子松は、蒙古アカマツとも言われ、原産地は大興安嶺で、1964年に楡林市の沙漠区おいて植栽がはじめられ、良好な成長と緑化に適した喬木樹種です。近年では、樟子松が横山県沙漠区造林の一つの重要な樹種となっているとのことです。
植樹に当たっては、①縦1.5m、幅1.5m、深さ0.3mの大坑整地を行い、その中に長さ0.5m、幅0.5m、深さ0.5mの植樹穴を作る、②植樹密度は1本につき4m×6mとし、1ha405本とする、③一定量の土壌を付けた苗を植える、④水遣りは植樹したその年の天候状況を見て1~2回行う、⑤手入れは翌年に補植を行い、生存した植樹に対しては3年以内に下刈り、虫害など養生措置をとることにしています。
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中国楡林市東陽山の植林始まる-盛大に記念式典・植樹が行われる(2013年5月)
2012年11月東京において、署名・交換が行われた覚書に基づき、2013年から2020年の8年間、横山県東陽山において、新たな形態の緑化協力事業が始まる。これを記念して、5月10日植林地の東陽山において、日本側から、大石理事長をはじめ5名、中国側から劉横山県長をはじめ約50名が参加した記念式典と記念植樹が盛大に行われた。
式典は劉横山県長のあいさつに始まり、続いて大石理事長のあいさつが行われた。この後、記念植樹として、参加者が植樹のための穴掘りや水やり、水槽づくりなどを行い200本の障子松を植えた。
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記念式典に臨む大石当基金理事長(右から6人目)と劉横山県長(理事長の左隣り)
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記念式典であいさつする劉横山県長
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記念式典であいさつする大石当基金理事長
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記念植樹をする大石当基金理事長と劉横山県長
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植えられた障子松
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簡単なビニールシートの水槽から水をくみ植林場所に運ぶ地元住民
当基金と楡林市横山県人民政府との間で造林に関する署名交換が行われる(2012年11月13日)
2011年11月13日の基金設立30周年記念フォーラムにおいて、公益財団法人緑の地球防衛基金と中華人民共和国陝西省楡林市横山県人民政府との間で、外務・農林水産・環境の各省関係者の立会いの下、造林に関する覚書の署名・交換が行われた。
その概要は、
- 1 基金と楡林市横山県人民政府は、楡林市横山県東陽山とその周辺地域において、双方が協力して緑化のための造林事業を進める。また、日本の協力により造成する植林地をモデル林として活用し地元民の所得向上につなげる。
- 2 基金は、楡林市横山県が2011年から実施している10年造林計画のうち、楡林市横山県東陽山の25haについて受け持ち、2013年から8年間の計画で造林を行う。その区域については、楡林市横山県人民政府が造林する区域とは完全に分離する。造林の樹種は、障子松、アカマツとする。これに加えてモデル林として経済価値のある樹種の造林を検討する。
- 3 基金は、2に要する経費について、最大80万元(約1,000万円)の範囲内で支援する。
- 4 2の造林計画は、楡林市横山県人民政府林業局が責任をもって実施するものとし、施工の監督・管理・検査・検収・費用の支払いを担当する。基金は、2の実施にあたり、造林にあたっての知見、植林技術ネットワークの構築、地元民の所得向上等について、楡林市横山県人民政府林業局に対し、意見を述べ、また、実施状況について説明を求めることができる。
- 5 基金及び楡林市横山県人民政府は、本造林事業を広く日中両国の国内に周知を図るよう努める。この一環として、基金は楡林市横山県人民政府の協力を得て「ボランティア植林ツアー」の企画に取り組む。
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(調印後握手する大石正光当基金理事長と劉維平楡林市横山県長)