第九回研究・活動報告会

第9回研究・活動報告会

森林資源を守る
- 第9回研究・活動報告会を開催 -

緑の地球防衛基金は、2015年11月7日(土)午後2時から、東京・中央区新川の馬事畜産会館2階会議室において「緑の地球をまもるために」の第9回研究・活動報告会(テーマ:森林資源を守る、後援:株式会社セディナ/地球にやさしいカード)を開催しました。

まず、大石正光当基金理事長、湯阪雅之株式会社セディナ・カード提携四部長の挨拶がありました。

続いて、第1部の基調講演では、永田信東京大学教授・大学院農学生命科学研究科森林科学専攻から「森林資源に関するU字仮説:社会経済発展と森林資源」の講演がありました。

講演では、森林資源は気候に左右されるが、FAOの報告書を見ると、発展途上国で森林は減少し、既発展国ではわずかながら増大していることが分かる。このことから、社会経済発展と森林資源の増減は関連していると思われる。森林資源は、社会経済が発展する以前、豊かにあったと考えられるが、社会経済の発展に伴い、段々と減少する。しかし、森林の重要性に気付き、森林資源は増大に転ずることになる。従って、森林資源を縦軸に、時間を横軸にとるなら、U字を描く、森林資源のU字型仮説が述べられました。

そしてなぜ反転するかについては、①土地利用が粗放になり、いわば自然に変えることによる森林の増大、②自然環境としての森林の造成、③木材など森林生産物の利用のための森林造成等があり、これらをうまく組み合わせることにより、U字型の底を浅く、早く迎える方策を考えて行くべきであると述べられました。

続いて第2部の活動報告では、南研子熱帯林保護団体代表から「アマゾン・シング―川上流域における野生生物(蜂)保全事業」と題して報告がありました。

報告では、ブラジル・アマゾンに位置する支援対象地域(シング―先住民国立公園内)では、近年開発の波が押し寄せ、様子が一変したとのことでした。大豆やトウモロコシ、サトウキビなどの畑、牧場造成、鉱物採掘、水力発電ダムの建設など開発がどのように行われ、その結果森がどのようになったのか。またその過程で鉱物採掘による水銀中毒、枯葉剤の使用によるダム建設等の環境汚染の問題にも触れられました。その後、支援地域の自然及びそこに暮らす先住民の生活文化にも触れ、分かり易く報告が行われました。

また、地球にやさしいカードの助成金により、2010年から始めている養蜂事業については、野生蜂の繁殖を助けることにより、熱帯林の活性化と再生に役立つとともに、蜂蜜採集は現地住民であるインディオの人々の経済自立支援も期待できると述べていました。

次に、後藤順久イカオ・アコ理事長からは「植林・環境教育による住民意識の変化~流域全体の環境保全活動から~」と題して、植林・環境教育の効果を検証するため、JICAの協力を得て2011年と2013年の2回調査を行った結果報告がありました。

調査方法は、イカオ・アコが活動するフィリピンで4番目に大きな島であるネグロス島の山間部と臨海部で暮らす同じ住民に対し、アンケート調査を行ったものです。2度のアンケート調査結果から、①森と海のつながりや環境問題を地理的地域の問題として捉えるようになった。②住民が活動を始める前に、「なぜマングローブが大切なのか」「なぜ海にゴミを捨ててはいけないのか」「なぜ海と山で植林活動を行っているのか」といったことは事前知識として知っておく必要がある。③子供のごみのポイ捨て、清掃活動、ゴミ問題に対しての意識の低さを見ることができ、今後の環境配慮に向けた行動について学ぶ場を設ける必要がある等の報告がありました。

3時間の長時間でしたが、参加者は熱心に聞き入り、盛会に終わりました。