第5回研究・活動報告会の報告
緑は甦るか
- 第5回研究・活動報告会を開催 -
㈶緑の地球防衛基金は、昨年10月15日午後2時から、東京・日本橋のTKP東京駅日本橋ビジネスセンターにおいて「地球の緑をまもるために」の第5回研究・活動報告会(テーマ:緑は甦るか、後援:林野庁・㈱セディナ)を開催しました。
第1部の基調講演では後藤健国際熱帯木材機関(ITTO)事務局次長から「持続可能な森林経営に向けた国際動向とITTOの取組」の話がありました。ITTOは、日本に本部を置く唯一の条約に基づく政府間組織として、熱帯林の保全と持続可能な経営、熱帯林資源の利用と貿易に関する様々な問題について協議、政策立案、国際協力を通じて、熱帯林の持続的な発展を促進している。加盟国は、33生産国と27消費国の計60か国で、世界の熱帯林の80%、世界の熱帯木材貿易の90%を占めている、との紹介がありました。この後、熱帯林は、農地や牧草地、その他森林以外の用途のために毎年伐採され、また不適切な土地利用のため劣化が現在も続いており、森林の減少・劣化による温室効果ガス排出量は全体の約17%に達するとの危機感が述べられました。
続いて、第2部の活動報告では、田野倉達弘ヒマラヤ保全協会理事・事務局長から「ネパールで、住民の生活に根ざした生活林をつくる」と題して報告がありました。同協会の植林活動は、森林を再生するだけでなく、地域住民が森林資源を計画的、効果的に活用しながら、自らの生活を改善向上させることを目標としており、そのことによって地域の自然が維持・保護されると強く訴えられました。
次に、南研子熱帯森林保護団体代表からは「アマゾンの森林保全と先住民の経済的自立促進」と題して報告がありました。報告では、ブラジル・アマゾンに位置する支援対象地域(シング―地域)の自然、及びそこに暮らす先住民の生活文化に触れるとともに、大豆など様々な資源を採るための開発はどのように行われ、その結果森がどのようになっているのか、そしてダム建設と先住民による抗議行動に焦点を合わせ、分かりやすく報告が行われました。
次に、馬場繁幸国際マングローブ生態系協会理事長からは「マングローブ林は津波などに対して防災機能を果たすのでしょうか」と題して報告がありました。データ解析からマングローブ林の防災機能として、マングローブ林があると、その前面の海で津波の波高は高くなるがマングローブ林の中で津波の水圧が減衰されるので、被害を軽減したり、命を守ったりする効果が実証されたことが報告されました。今後も調査研究を進め、現行のガイドラインを補完し、現場に即した指針を作り上げたいとの期待が述べられました。
最後に後藤健ITTO事務局次長から総括がありました。参加者は熱心に聞き入り、盛会に終わりました。